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心房細動とは

心臓のしくみとはたらき

心臓は4つの部屋で構成されています。上方の小さな2つの部屋を右心房と左心房と呼び、下方の大きな2つの部屋を右心室と左心室と呼びます。

心臓は全身に血液を送りだすためのポンプの役割を担っています。

このポンプ機能は、電気信号が心臓に伝わり、筋肉を収縮させ、規則的に拍動させることにより動いています。安静時、正常な成人の心臓であれば、1分間に60~120回拍動します。

心房細動とは?

心房細動は、心臓の拍動が不規則になる病気の一つで、心臓から血液を送り出す能力に影響を及ぼします。

心臓の拍動リズムが正常な場合、血液は心室に送り込まれた後、全身に再び送り出されます。

心房細動は、心臓上部の二つの部屋(心房)が異常に速く不規則なリズムで拍動(細動)している状態のことをいいます1,2

心房細動の症状

心房細動が起きると、無秩序な電気信号が心房を小刻みで不規則に震わせ、規則正しい拍動ができなくなります。そして、心房や心室が協調して働けなくなるため、心臓のポンプ効率が正常な拍動の20~30%も低下します。

正常な拍動の場合、心臓を拍動させる電気信号は、右心房にある洞房結節から始まります。しかし、心房細動の場合、信号が心房の複数の場所から不規則に生じます。このような無秩序な信号が高頻度に生じ、一部しか心室に伝わらなくなることで不規則な拍動になります。

心房細動には、自覚症状がある場合とない場合があります。
自覚症状がある場合、以下のような症状が認められます。

  • 動悸(突然鼓動を強く感じる、胸のもやもや感・連続する激しい鼓動)
  • 疲労感または倦怠感
  • めまい・ふらつきまたは失神
  • 胸の痛み、圧迫感または不快感
  • 息切れ

心房細動の原因

心房細動の最も一般的な原因は、心臓の異常または障害です。リスクは年齢とともにも高くなりますが、原因不明の場合もあります。
非弁膜症性心房細動の原因の可能性としては、以下のことが挙げられます3

  • 高血圧
  • 心臓発作
  • 心臓手術の既往
  • 冠動脈疾患
  • 先天性心疾患
  • 心臓のペースメーカ機能の異常
  • 慢性肺疾患
  • 甲状腺機能亢進症などの代謝異常
  • 手術のストレス、肺炎などの疾患
  • ウイルス感染
  • 睡眠時無呼吸症候群
  • 何らかの刺激物への曝露(薬物、カフェイン、タバコ、アルコールなど)

 

心房細動による
脳卒中リスクについて

心房細動による脳卒中リスクと
その程度についてご説明しています。

References: 

  1. Blackshear JL, Odell JA. Appendage obliteration to reduce stroke in cardiac surgical patients with atrial fibrillation. Ann Thorac Surg. 1996;61:755-759.
  2. Harvard Health Publications. Atrial fibrillation. http://www.health.harvard.edu/heart-health/atrial-fibrillation- common-serious-treatable. Harvard University Medical School. Published November 2011. Accessed August 25, 2016.
  3. Mayo Clinic. Atrial fibrillation. Causes. http://www.mayoclinic.org/diseases-conditions/atrial- fibrillation/basics/causes/con-20027014. Accessed July 21, 2015.