心房細動による脳卒中リスクを低減するための治療
薬剤治療(脳卒中予防)
抗凝固薬によって、非弁膜症性心房細動の患者の脳卒中リスクが
どの程度低減するのか見てみましょう。
非弁膜症性心房細動による脳卒中リスクを減らすために用いられる一般的な薬剤
- ワルファリン
- 新たな抗凝固薬(DOAC/NOAC)
- リバーロキサバン
- アピキサバン
- ダビガトラン
- エドキサバン
ワルファリンと新たな抗凝固薬(DOAC/NOAC)の比較
ワルファリンは、非弁膜症性心房細動の患者さんの脳卒中リスクを低減するために処方される、一般的な抗凝固薬です。ワルファリンは数十年にわたって使用されており、一般的にDOAC/NOACと呼ばれる新しいタイプの抗凝固薬よりも安価です。ただし、一定の条件と制限があります3,4。
定期的な血液検査
ワルファリンの場合、定期的な血液検査(医師の推奨により週2回~月1回)を受ける必要があります。この検査では、INR(国際標準比)という、血液が凝固するまでにかかった時間を表す数値を測定します。
食事ガイドライン
ワルファリンを服用している場合、葉物野菜など、ある種の食物はINRに影響を及ぼす可能性があります。飲み忘れた場合も、基準値の範囲から外れることがあります。INRの推奨値から外れた場合、脳卒中または出血のリスクが高くなる可能性があります。
DOAC/NOACと呼ばれる新しいタイプの抗凝固薬ではINR検査が必要がなく、ワルファリンの様な食事制限はありません。ワルファリン治療を行うことで何らかの問題がある場合、別のタイプの抗凝固薬服用を医師から勧められるかもしれません。このような抗凝固薬はワルファリンに代わる新たな選択肢となる一方、それぞれの抗凝固薬剤にも、リスクとベネフィットがあります5。
抗凝固薬による出血リスク
抗凝固薬は、心房細動患者の脳卒中リスクの低減にきわめて有効ですが、出血性障害のリスクが高まる可能性もあります5。
軽度の出血
ほとんどの場合、出血は軽度で治療も困難ではありません。(例:通常よりも止血に時間がかかる傷口など)また、抗凝固薬によってあざができやすくなる人もいます。
重大な出血
重大な出血の場合には、病院での治療や輸血が必要になる可能性もあります。出血性脳卒中の原因となる脳内出血など、ときには出血が、命に関わる状態や死をもたらす可能性もあります6。
抗凝固薬を処方する場合、医師は脳卒中のリスクと重篤な出血性障害のリスクを比較検討します。このようなリスクは現在の病状、家族歴、生活習慣などの要因によって異なります。重大な出血のリスクが他の人より高いケースもあります5。
References:
- Harvard Health Publications. Atrial fibrillation. http://www.health.harvard.edu/heart-health/atrial-fibrillation- common-serious-treatable. Harvard University Medical School. Published November 2011. Accessed August 25, 2016.
- Anticoagulant medicines. NHS Choices. http://www.nhs.uk/conditions/Anticoagulant- medicines/Pages/Introduction.aspx. Accessed October 2, 2017.
- Agency for Healthcare Research and Quality (AHRQ). Blood Thinner Pills: Your Guide to Using Them Safely. http://www.ahrq.gov/sites/default/files/wysiwyg/patients-consumers/diagnosis- treatment/treatments/btpills/btpills.pdf. Published September 2015. Accessed September 8, 2016.
- American Heart Association website. http://www.heart.org/HEARTORG/. Published 2017. Accessed June 1, 2017.
- National Stroke Association. Making the Afib-Stroke Connection. https://www. stroke.org/understand-stroke/preventing-stroke/afib-stroke-connection. Published 2012. Accessed September 1, 2016.
- Holmes DR Jr, Doshi SK, Kar S, et al. Left atrial appendage closure as an alternative to warfarin for stroke prevention in atrial fibrillation: a patient-level meta-analysis. J Am Coll Cardiel. 2015;65(24):2614-2623. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26088300.